コロナウイルス感染症の影響を受け、世界的にオンラインの需要が高まり、世界のEコマース(電子商取引)市場規模は前年比20%を超えるまで成長を遂げている。ポーランドでも現在、Eコマース市場(以下、EC市場)が右肩上がりに拡大傾向にあり、国内外から注目・期待されている。
◉ポーランドのEC市場の現状
Statistaの調査によると、コロナ禍の影響でポーランドのEC市場は2020年の1年間で約25%成長した。ポーランド国内のEC市場においては、ポーランドのAmazonとも呼ばれる‘Allegro’がEC市場を独占している。Allegroはポーランド国内で約1,230万人の利用者と117,000社の販売者を抱える東欧地域最大のECサイトで、昨年10月には国内史上最大の新規株式公開(IPO)としてワルシャワ証券取引所に上場した。
◉日本製品を扱う越境ECサイト・KOKORO
ポーランドでは日本食を中心に日本製品も人気が高く、日本製品をオンラインで輸入販売している越境ECサイトもある。'KOKORO SMAKI JAPONII'は日本茶やドレッシング、インスタントフード、寿司の原料などを取り扱っているオンラインストアで、国内のポーランド人をターゲットに販売している。特に日本特有のパッケージデザインが人気で、値段が高くてもクオリティの高いメイドインジャパンの製品は創業当初から顧客を獲得している。
◉ポーランドの文化・経済的背景
国内インターネットユーザー率、約80%を誇るポーランドだが、特に中高年のインターネット利用者数が急激に増加しており、今後も広い世代でデジタル化が進んでいくと予想される。ポーランドではオンラインより実店舗を好む消費者の比率が僅か2%という報告もある。また、ポーランドはEU加盟国だが、通貨は自国通貨のズウォティが保たれており、貨幣価値は日本の3分の1程度で、賃金水準も周辺諸国と比べて低いため、物価が比較的安い。よって国内の消費者が国外のサービスを利用することはあまり日常的ではない。言語面でも、スラヴ語派のポーランド語は世界一難しい言語の一つとも言われており、英語やラテン語派言語と共通する言葉はほとんどなく、ポーランド進出を考える海外企業にとっては非常に高い言葉の壁である。
◉今後の展望
今年1月に米大手ECサイトのAmazon社がポーランドにおいて、正式にECサイトの立ち上げ準備を開始したと発表した。Allegroの独壇場となっていたポーランドのEC市場だが、アマゾンのポーランド進出が追い風となってEC市場におけるプラットフォームの多国籍化が予想される。また、日EU経済連携協定(EPA)の締結、欧州でのビーガン、自然志向、ショートラベル(添加物の少ない商品)などのトレンドが高まる中で、日本の製品や越境ECのポテンシャルは高いのではないか。
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