2023年6月16日金曜日

 <ポーランドとの貿易・輸出入、ポーランドへの投資、ポーランド進出を考える日本の企業様へ>

Intel、ポーランド史上最大の海外直接投資を開始

 

2023616日、マテウス・モラヴィエツキ首相と米インテル・コーポレーションのパット・ゲルシンガーCEOは、ポーランド史上最大の海外直接投資を開始しました。世界最大手の中央処理装置および半導体メーカーであるインテルは、ポーランド西部のウロツワワに半導体集積・テスト工場を2027年までに設置し、約200PLN(7000億円)を投資する予定であると発表しました。ポーランド投資貿易庁と産業開発庁は、「デジタル省」と近年大企業を誘致し、ポーランドで最も急速に発展している「レグニツァ経済特区」と協力し、この投資の獲得を支援しました。

産業開発庁とポーランド投資貿易庁は、2021年からヤヌス・チェジンスキデジタル担当大臣の支援のもと、ポーランドのインテルプロジェクト獲得に尽力しました。他の複数国の投資先候補と競い、ポーランドは投資先国としての地位を勝ち取りました。

ワルデマール・ブダ開発技術大臣は、この投資について、「世界で最も有力な企業のうちの一つであるインテルが投資先としてポーランドを選んだことは、ポーランドが現代のテクノロジー産業において評価されていることを示している。投資額は最大46億ドルに及び、2000人の雇用と高賃金の雇用が創出される予定である」と述べました。また、産業投資庁のクシシュトフ・ミヒャルスキ副理事長は、「インテルの工場は単なる投資ではない。ポーランド経済に革命を起こし、ポーランド産業に新たな1ページを開くきっかけになるプロジェクトである。そのため、産業開発庁はこのチャンスを逃さないようにあらゆる努力をしてきた」と今回のプロジェクトへの思いを強調しました。

ポーランドが今回投資先として選ばれたのには理由があります。ポーランド投資貿易庁のパヴェク・クルタシュ経営委員会会長は、今回ポーランドが選ばれた理由について、「ポーランドが投資先として選ばれたのは偶然ではない。ポーランドが投資先として非常に魅力的であること、安全であることだけでなく、投資家支援システムが完璧に機能していることの証明でもある」と主張しました。実際に、米インテルは今回ポーランドを選んだ理由について、「インフラ、人材基盤、優れたビジネス環境などがあり、ドイツで計画されているインテルの最先端ウェハ製造拠点やアイルランドの既存のウェハ製造拠点と連携するのにも適した位置にある」ためであると発表しています。また、「欧州のポーランド、ドイツ、アイルランドの3拠点を組み合わせることで ”end to end” の最先端半導体製造バリューチェーンを構築することができるようになる」と述べ、今回のポーランドへの投資のメリットについても説明しました。

近年、欧州全体で半導体生産を増産していく動きが強く見られています。欧州連合(EU)では、2030年までに世界の半導体生産に占めるシェアを20%にまで引き上げることを目標としています。今回の半導体大手であるインテルによる投資は、この目標を達成するための重要な動きのうちの一つになるでしょう。

世界全体で深刻化している半導体不足ですが、この問題を解決するためには、国境を越えた協力が不可欠になってくるはずです。日本も独自の技術力を活かし、各国と協力していくことが求められるでしょう。


写真:ポーランド投資貿易庁より


2023年6月6日火曜日

 <ポーランドとの貿易・輸出入、ポーランドへの投資、ポーランド進出を考える日本の企業様へ>

革新的なアグリテック技術への支援広がる

 

アグリテック分野で活躍するポーランド最新の農業機械メーカーである “Mzuri World”社が、2023年に3,500PLN(約19億円)を投じて生産工場を完成させる予定であると発表しました。投資の実施にあたり、Mzuri World社はポーランド投資貿易庁による政府補助金を受けます。今回の投資は、ポーランド投資貿易庁が手掛けた約20のプロジェクトのうちの一つです。

2017年、アグロランドグループの一員であるポーランドの”Mzuri Agro” 社が英国のMzuri社の遺産を引き継ぎ、現在の ”Mzuri World” 社が創設されました。この取引により、生産は現在本社があるポーランド北部クヤヴィ=ポモージェ県のŚmielinに移されました。ポーランドのオーナーは近代的なR&Dセンターに投資をし、2019年以降世界で唯一「ストリップ耕うん技術」の総合的な研究開発に特化したセンターとなりました。この設備は、4大陸40か国以上で使用されています。

ポーランド投資貿易庁の支援を受けたこのプロジェクトは、最新の「播種・耕作用骨材」を生産する工場の建設に関するものです。この投資には、オフィスビル、生産施設、倉庫の建設も含まれます。

Mzuri World のマレク・ロズニアク会長は、「私たちの会社は地球温暖化、経済の脱炭素化、ヨーロッパの砂漠化といった課題に対応するために、わずか数年の間に小さな会社から農業の技術に必要な技術を提供するグローバルサプライヤーへと成長した。私たちが提案するソリューションは、高品質の食糧や植物原料の生産といった人間の基本的なニーズを満たすことと、土壌・水・空気といった自然環境への配慮を同時に実現するものである」と自社の技術力についてアピールしました。

ポーランド投資貿易庁は、ポーランドの投資プロジェクトにこのように積極的に取り組んでいます。近年ポーランドの製品と技術は国際市場で競争力を増し、貿易投資庁はその拡大を支援しています。主な顧客は、今回のMzuri Agro社のような「農業機械メーカー」です。2021年、この種の機器の輸出額は167000万ユーロ(約2, 600億円)に達し、前年比で20%以上増加しました。ポーランド投資貿易庁のパヴェウ・クルタシュ会長は、「今後10年間で農業機械産業はポーランドの輸出の原動力となり、経済全体を持続的に発展させる重要な要素になるでしょう」と述べました。

今後も伸びるとされるポーランドの農業機械産業。これからの活躍に注目です。

2023年6月1日木曜日

 <ポーランドとの貿易・輸出入、ポーランドへの投資、ポーランド進出を考える日本の企業様へ>

中国の寧波からの代表団がポーランド訪問 

 

ポーランド投資貿易庁の専門家は、中国の寧波からの代表団と貿易関係発展のさらなる展望について話し合いました。

会談に同席した寧波の李光定副市長はポーランドの経済的安定性を高く評価しました。また、ポーランドの重要な人的資源の重要性も強調しました。会談の中で両者は、「寧波で毎年開催される最大級の消費者イベントである中国・ECEC博覧会にポーランドの企業家が出展していることに満足している」と述べました。今年の博覧会では11社のポーランド企業が参加し、中国のパートナーと数多くのB2Bミーティングを行いました。

寧波はポーランドとの経済交流量において、中国の中でも重要な地域のひとつです。この工業の中心地は中国の東海岸、浙江省に位置し、寧波から中・東欧諸国へ輸出される商品の半分以上はポーランド向けになっています。寧波は金融の中心地である上海の近くに位置し、世界でも有数の規模を誇る寧波舟山港があります。寧波・舟山港を経由するポーランドとの経済協力額は25億ドルと見積もられています。

今回の話し合いで、双方は「さらに関係を強化し、経済協力を発展させていきたい」と意欲を示しました。近年、中国のロシアとの関係に懸念を示す声が東欧諸国の中で高まり、中国離れの動きが見られています。ポーランドも、世界有数の親米国として、ロシアウクライナ戦争下でもロシアとの関係を深める中国に反対する姿勢を示しています。一方、貿易の面では、中国はポーランドにとって第二の貿易相手国です。しかし、中国に対する貿易赤字が目立っています。2021年の統計によると、ポーランドから中国への輸出額は37億ドルであったのに対し、輸入額は458億ドルとなり、大幅な貿易赤字となっています。親米国として中国に対して明確に友好な態度を見せることができないポーランドですが、今回の話し合いを通して深刻な貿易赤字を是正する狙いがあるのかもしれません。

写真:ポーランド投資貿易庁より