2021年3月16日火曜日

コロナ禍におけるポーランドのEコマース市場

<ポーランドとの貿易・輸出入、ポーランドへの投資、ポーランド進出を考える日本の企業様へ>

コロナウイルス感染症の影響を受け、世界的にオンラインの需要が高まり、世界のEコマース(電子商取引)市場規模は前年比20%を超えるまで成長を遂げている。ポーランドでも現在、Eコマース市場(以下、EC市場)が右肩上がりに拡大傾向にあり、国内外から注目・期待されている。 

 ◉ポーランドのEC市場の現状
Statistaの調査によると、コロナ禍の影響でポーランドのEC市場は2020年の1年間で約25%成長した。ポーランド国内のEC市場においては、ポーランドのAmazonとも呼ばれる‘Allegro’がEC市場を独占している。Allegroはポーランド国内で約1,230万人の利用者と117,000社の販売者を抱える東欧地域最大のECサイトで、昨年10月には国内史上最大の新規株式公開(IPO)としてワルシャワ証券取引所に上場した。

写真:Allegro ホームページキャプチャ画像

 ◉日本製品を扱う越境ECサイト・KOKORO
 ポーランドでは日本食を中心に日本製品も人気が高く、日本製品をオンラインで輸入販売している越境ECサイトもある。'KOKORO SMAKI JAPONII'は日本茶やドレッシング、インスタントフード、寿司の原料などを取り扱っているオンラインストアで、国内のポーランド人をターゲットに販売している。特に日本特有のパッケージデザインが人気で、値段が高くてもクオリティの高いメイドインジャパンの製品は創業当初から顧客を獲得している。 

写真:KOKORO ホームページキャプチャ画像


ポーランドの文化・経済的背景
国内インターネットユーザー率、約80%を誇るポーランドだが、特に中高年のインターネット利用者数が急激に増加しており、今後も広い世代でデジタル化が進んでいくと予想される。ポーランドではオンラインより実店舗を好む消費者の比率が僅か2%という報告もある。また、ポーランドはEU加盟国だが、通貨は自国通貨のズウォティが保たれており、貨幣価値は日本の3分の1程度で、賃金水準も周辺諸国と比べて低いため、物価が比較的安い。よって国内の消費者が国外のサービスを利用することはあまり日常的ではない。言語面でも、スラヴ語派のポーランド語は世界一難しい言語の一つとも言われており、英語やラテン語派言語と共通する言葉はほとんどなく、ポーランド進出を考える海外企業にとっては非常に高い言葉の壁である。 

 ◉今後の展望
 今年1月に米大手ECサイトのAmazon社がポーランドにおいて、正式にECサイトの立ち上げ準備を開始したと発表した。Allegroの独壇場となっていたポーランドのEC市場だが、アマゾンのポーランド進出が追い風となってEC市場におけるプラットフォームの多国籍化が予想される。また、日EU経済連携協定(EPA)の締結、欧州でのビーガン、自然志向、ショートラベル(添加物の少ない商品)などのトレンドが高まる中で、日本の製品や越境ECのポテンシャルは高いのではないか。


2021年3月5日金曜日

ヴィーガンに優しい都市・ワルシャワ

<ポーランドとの貿易・輸出入、ポーランドへの投資、ポーランド進出を考える日本の企業様へ>


2019年にStatista が行った調査によると、ポーランド人口の8.1%がヴィーガンであり、同年に行われたHappy Cowの調査では、首都ワルシャワは世界で6番目にヴィーガンにとってフレンドリーな都市として選出された。

 

ワルシャワのヴィーガンレストラン


ヴィーガンラーメン店 / Uki Green

ヴィーガンバーガー/Krowarzywa


             

ヴィーガン寿司
ヴィーガン寿司 / Youmiko vegan sushi            

                                                                         

ワルシャワではUki Greenという日本人オーナーのヴィーガンラーメン店やヴィーガン寿司屋、ヴィーガンバーガー店のKrowarzywaが人気を博している(写真上)。そして、市内のヴィーガン料理店はその美味しさにも引けを取らず、Krowarzywaのヴィーガンバーガーは、肉を使用したバーガーを抑え、‘The Best Burger in Warsaw Award’2度、一位を獲得した。ワルシャワの他にも、ヴロツワフ、クラクフ、グダニスクなどの都市でヴィーガンレストランが続々とオープンし、今ではポーランドはヴィーガン文化が広く浸透するヴィーガン先進国として世界をリードしている。動物性由来の食材を制限するビーガンの間では、植物由来原料の豆腐などの豆製品やグルテンミート、穀物、野菜、果物、ナッツ、海藻などが人気だ。

 


日本のマクロビ

日本にもマクロビという食事法がある。マクロビとは身土不二(その土地の旬の食材を食べること)、一物全体(残さず食べること)、陰陽調和(季節に合わせて温かい・冷たいものを食べること)の三つを軸に、日本人が考案した、健康を考慮した食事法だ。「食べてはいけない」などの制限はなく、ストイックではないため、食生活を見直したい人が気軽に取り組める健康志向の食事法なのではないか。

 


日本のスーパーフード海外進出の可能性

ポーランド含め、世界中でヴィーガン市場が急成長を遂げる今、植物性由来の高野豆腐や納豆、梅干しなど日本のスーパーフードの海外への普及の可能性は高いのではないか。日本でもヴィーガンをめぐっては健康面、アニマルウェルフェアなど様々な点から議論が交わされているが、私たちは食の多様化に対応していかなければならない。

 

 

ヴィーガン一般的に「完全菜食主義者」と訳される。ベジタリアンの一種で肉、魚、乳製品、蜂蜜などの動物性食品をいっさい口にしない人。

 

<参考>

 

Statista. https://www.statista.com/statistics/1133308/poland-vegans-and-vegetarians/

Happy Cow. https://www.happycow.net/vegtopics/travel/top-vegan-friendly-cities

 

2021年3月3日水曜日

オーガニックコスメ市場の行方 〜ポーランドと日本を比較〜

<ポーランドとの貿易・輸出入、ポーランドへの投資、ポーランド進出を考える日本の企業様へ>


近年のSDGsやパリ協定の採択以降、人々のサステナビリティへの関心が急速に高まりつつある。同時に、世界中で高まるオーガニック志向がコスメの分野にも波及してきている。オーガニックコスメの定義が日本では定まっていないが、基本的に農薬や化学肥料を使用しない植物由来成分を配合した化粧品を指す。化学農薬を使わないため、肌にも負担が少なく、環境保護にも貢献する。


ポーランドでも、平均給与の上昇による生活水準の向上に伴い、環境への配慮や健康志向が高まっている。実際、ナチュラルコスメに特化したコスメフェア、Ekocudaが開催されている(写真1)。2016年に第1回Ekocudaが開催され、66のコスメブランドが出展、8000人が来場した。そして2018年に行われた第5Ekocudaには約180のブランドが出展し、来場者は約2万人まで膨らんだ。2年で規模が約3倍に拡大したことから、ポーランド国内でのオーガニックコスメに対する関心が高まる結果となった。今やオーガニック化粧品の市場は急成長を遂げ、オーガニックの新たなポテンシャルの大きい市場を形成している。


                       (写真1:コスメフェア/ Ekocuda)



日本でも、日本ならではの天然素材を活かしたオーガニック系コスメへの関心が高まっている。SHIROをはじめとするナチュラル系コスメブランドは幅広い年代から支持されている。SHIROは酒粕やがごめ昆布、ジンジャー、アマニ油、ルバーブなどの日本の素材の良さをシンプルに活かし、様々なメイクアップ商品を展開しており、実際に食べられるほど安全な素材を使用している(写真2)。毎月新製品を発売するなどラインナップのバリエーションが豊富な点が若者から人気の理由となっている。紙箱なしの商品を通常価格の3%を割引して販売することで製品の包装を削減するなど、包装面からも地球環境への配慮がなされている。

                              


                                (写真2: SHIRO )                                                                             (写真3:SHUNOBI)



また、SHUNOBI(シュノビ)は、日本酒の持つパワーに着目して開発された世界でも珍しい『日本酒オーガニックコスメ』である。酒粕は天然成分を多く含む他、アンチエイジング効果や美白効果があると言われている(写真3)。


日本とE U間のE P A(経済連携協定)の締結でヨーロッパとの結びつきの強化が期待され、世界中で消費者の健康志向が高まる今、美白効果やくすみ改善効果をもたらす酒粕や天然素材を使用した安心安全な日本ならではのオーガニックコスメの海外市場参入の可能性に期待が寄せられている。

 

<出所>

写真1:Ekocuda  https://www.facebook.com/pg/ekocudacom/photos/?ref=page_internal

写真2:SHIRO  https://shiro-shiro.jp/

写真3:SHUNOBI  https://www.shunobi.tokyo