2023年9月21日木曜日

ヴァイオリン奏者を唸らせる作曲家ヴィエニャフスキ

<ポーランドとの貿易・輸出入、ポーランドへの投資、ポーランド進出を考える日本の企業様へ>


  ヴァイオリニストなら一度は聞いたことのあるこの作曲家は、ポーランドで最も有名な作曲家の一人である。2つのコンチェルト、華麗なるポロネーズ、そして技術的に要求の高いスケルツォ・タランテラなど名曲を作曲している。この記事では、彼の生い立ちや名曲を紹介したい。
  ヴィエニャフスキはルブリン県の県都でありポーランド南東部にあるルブリン市で生まれた。小さい頃からヴァイオリンの才能が評価され、8歳にしてパリ国立高等音楽院に入る。その後各地様々な場所へ行きリサイタルやツアーで忙しい日々を送る。1860年にサンクトペテルブルクに移住し、12年間そこでヴァイオリンを教え、現地のオーケストラでも活躍した。1875年にブリュッセル王位音楽院にてヴァイオリンの教授になるが、ブリュッセルにいる間に体調を崩し1880年に僅か44歳で他界した。
  彼の短い人生において、多くの名曲を作曲している。今回はそのうちのいくつかを紹介したい。


ポロネーズ第1番 

  「ポーランド風」という意味を持つこの曲は彼の作曲した2つのポロネーズのうちの最初の曲である。また、「Polonaise Brilliante(華麗なるポロネーズ)」という名でも知られている。まだ少年の時に作曲したとされるこの曲は、普段はピアノを伴奏として演奏される。この曲はポロネーズの歩くような躍動感のある雰囲気をテーマにしている。曲の中心部では美しいメロディーで遅くなりながらも、ポロネーズの基本的なリズムが入り組み、曲は前へ進んでいく。後半は技術的に難しいパッセージが続き、最後は盛り上がりの末にポロネーズのリズムを導入して終わる。個人的におすすめなのはマイケル・レビンの録音である。キレのある弾き方やビブラートの表現が美しく、ポロネーズのイメージを細かく表現できている演奏である。

協奏曲第1番

  ヴィエニャフスキが初めて作曲した協奏曲は序盤からエネルギーを吸収されるような盛り上がりから始まる。伴奏のオーケストラが2分程度長々と演奏した後、緊張感が増してからのソリスト登場というエネルギッシュな始まり方である。技術面では最高峰とも言われるこの曲は様々な難所パッセージがあり、その難しさのせいでか、20世紀の後半になるまであまり演奏されなかった。この曲はプロイセン王ヴィルヘルム4世のためにヴィエニャフスキが作曲した曲で、僅か17歳で書いた名曲である。お勧めの演奏は、イツァーク・パールマンと小澤征爾率いるロンドンフィルハーモニー管弦楽団による演奏である。パールマンの美しい音色と表現は素晴らしく、一番優れた演奏だとも評価されている。

協奏曲第2番

  ヴィエニャフスキの2番目の協奏曲は彼が20代の時に作曲した曲である。初演奏は1862年にサンクトペテルブルクにてルビンシテインによって振られ、ヴィエニャフスキ本人がソロを弾いた。この曲は著名な作曲家であるサラサーテのために書かれている。第1版と違って、音楽的により成熟していて豊かで動きのあるメロディーの人気さから頻繁に演奏される(もちろん、技術的に1番より易しいためということもある)。この曲も1番と同様に長い前奏から始まり、ソリストが登場するのは2分半後程経ってからである。ただし、最初のメロディーは刺激的なものではなく、美しく悲しさも含んだキャッチーなメロディーから始まる。この曲も1番と同様に、パールマンの録音が一番お勧めできる。彼のビブラートの表現による演奏は、とても感情深く美しい音色を放ち、聴いていて涙が湧くであろう。

スケルツォ・タランテラ

  ヴィエニャフスキの16曲目の作品であるスケルツォ・タランテラは彼が20歳の頃に作曲した曲である。パリ国立高等音楽院の教授であるランベール・マサールのために作曲し、ショパンのタランテラを参考にして作曲されたと言われている。技術的には、移弦が多く、メインテーマはとても速いのでヴァイオリン奏者の操弓能力が問われ、演奏の見せ場でもある。メインメロディーは速いのと同時にスタッカートがついているためとても元気でありながら激しい曲である。この曲のお勧めできる録音はヤッシャ・ハイフェッツによる演奏である。彼の完璧な技術とキレのあるスタッカート、そしてそれをまるで何もないかのように速いテンポで弾いているのが素晴らしい。


  このようにヴィエニャフスキは多数の有名なヴァイオリンの曲を作曲している。ポーランドからは他にもショパン、シマノフスキ、など様々な著名なクラシック作曲家を輩出している。ポーランドに興味を持ったら、是非作曲家たちの曲を聴いて、自分の好みを探してみよう。

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